東京西法律事務所

このブログは東京西法律事務所(中央線・荻窪駅徒歩2分)が運営しています。ご相談のご予約は0120-819-674(はい、苦労なし)まで。土日・夜間のご相談も受け付けております。当事務所ホームページへのリンクはこちらをクリック

2014年6月20日金曜日

これは拙い! 相続税の脱税について

本日、相続税の脱税に関するニュースが報道されていました。記事は以下の通りです。

愛知県武豊町ですし店を営んでいた父親の遺産約2億5千万円を隠し、相続税約1億円を免れたとして、名古屋国税局が相続税法違反(脱税)の疑いで、長女と長男を名古屋地検特捜部に告発したことが分かった。生前に引き出した多額の預金をすし店だった建物に隠しており、刑事責任を問うべきだと判断したとみられる。
 告発されたのは、長女の主婦湯本尚代相続人(46)=同県豊山町=と長男の会社員深谷健史相続人(39)=武豊町。
 関係者によると、2人は2010年8月、父の深谷澄氏が65歳で病死した際、現金や預金、不動産など総額約4億5千万円の遺産を相続したが、死去する前に複数回に分けて引き出した預金を店舗兼住宅に隠すなどして、2億5千万円を除外して税務申告した疑いがある。
 名古屋国税局が昨年6月に強制調査(査察)。澄氏の死後は使われていなかった店舗兼住宅の押し入れや棚などから、多額の現金や預金通帳が見つかったという。
 湯本相続人は取材に対し「父が亡くなり、慌ただしい日々を送る中で、現金や預金をそのまま放置してしまった。相続税をきちんと納税しなかったことを、今は後悔している」と説明。「姉弟で話し合ってやったこと。弟も反省している。既に修正申告をした」と話した。
 澄氏の営んでいたすし店は、30年ほど前に開業。近所の住民らによると、澄氏は地元の有名店で修業した腕のいいすし職人として評判で、3階建ての店舗兼住宅を構えるなど繁盛していた。
 02年ごろに閉店したという。

引用元:中日新聞 CHUNICHI web
 (http://www.chunichi.co.jp/s/article/2014061990085228.html)

さて、色々と突っ込みどころの多い話ではありますが、何が間違いかというと、まず亡くなった方がこんな稚拙な方法で脱税ができると思っていたことです。

繁盛したお寿司屋さんですから、それなりに収入があったものと考えられますし、税務署も毎年の確定申告を通して年収を把握しています。(もっとも、現金商売ですから所得税も脱税していた疑いもありますが。。)

従って、相続財産の額についてもある程度の予測はつきます。

それが蓋を開けてみたら相続税の申告額が推計と異なっていた、となれば、当然税務調査の対象になるでしょう。何せ4億5千万円中、2億5千万円(つまり金融資産の大部分と思われます)も隠していれば、怪しいのは当然です。

更に、脱税の手口も稚拙です。

何回かに分けて銀行から引き出して現金で隠したとのことですが、そんな分かりやすいことをしたら、見つかるに決まっています。税務署が調査をするのに死亡時の預金残高しか調べないとでも思っているのでしょうか。

決して笑えない話なのですが、相続の相談の中で、預貯金を相続人の名義の口座に移しておけば、相続税がかからずに済むと思っている方が、時々いらっしゃって、真顔で「大丈夫なんじゃないですか」と聞かれます(実話)。

そんな訳はありません。名義預金として指摘されるのがオチです。

そもそも、素人が簡単に思いつくような脱税の手口をプロである税務署員が見破れないと思う所がおかしいのです。

本当に賢い方は、自分の限界を良くご存じです。だから、できないことをできると思って過信することもありません。代わりに専門家である税理士さんに相談するのです。

もちろん、税理士さんが教えてくれるのは、「脱税」ではなくて「節税」の方法です。余計なリスクを冒すことなく、法律の範囲内でできる工夫を教えてくれます

頼れる税理士さんを選ぶ秘訣については【税理士選びの秘訣(相続編)をご覧下さい。

なお、「名義預金」をご存知でない方は、先日、別のエントリーで詳しく書きましたのでこちらをご覧下さい。【生前贈与の落とし穴−「名義預金」(前編)】

【検索でいらっしゃった方へ】
相続に関する情報満載のブログのトップページはこちらです→ http://wakarusouzoku.blogspot.jp