東京西法律事務所

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2014年6月12日木曜日

葬儀費用は誰が払うのか

相続の仕事をしていると、相続人の方が葬儀費用を相続財産である預貯金から支出する例をよく目にします。そして、誰もがそれを当たり前だと思っていて、異議を唱える人は見かけません。

ところが、このような世間一般の考え方と異なり、法律上は、当然に相続財産から葬儀費用を支出することにはなりません。

実は、葬儀費用を誰が負担するか、ということについては法律上は定まった考え方がありません

これまで、葬儀費用の負担を誰がするのかということについて、裁判上で争われた事例は沢山あります。

むろん、わざわざ葬儀費用についてだけ争うということはなく、遺産分割や遺留分減殺請求など、相続に関する紛争が発生した際に、その一部として争われるのです。

このような場合の裁判所の判断はケースごとに異なっており、①喪主の負担とするもの、②相続人共同の負担とするもの、③相続財産から支出すべきとするもの、などに分かれていて、統一されていない状況です。

それぞれの裁判例を見てみると、裁判所の判断が分かれている理由は、ケースごとに背景事情(葬儀費用の負担者に関する地方の慣習や、亡くなった方の地位に照らして必要以上の経費をかけていないかなど)が異なっている中で、それぞれの裁判所が事案ごとに妥当な解決を目指した結果だと思われます。

このような状況であるため、遺産分割調停の場面では、裁判所はあくまで相続人全員の合意が取れることを条件に、相続財産から葬儀費用を支出する扱いをしています。

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9−2−8 葬儀費用の負担者