東京西法律事務所

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2017年6月19日月曜日

セミナーを終えて

当ブログでも告知させて頂きましたが、6月18日に三鷹にて相続と遺言に関するセミナーの講師を務めさせて頂きました。

今回は、40名近くの参加者の方のご参加を頂き、熱心に講演を聞いて頂きました。

前回と同じ主催者様のグループでしたので、同じ内容では申し訳ないと思い、今回は、前回を踏まえた発展的な内容のお話を用意させて頂きました。

ところが、ふたを開けてみると、前回はいらっしゃらなかった参加者の方が大多数を占めていたため、むしろ前回と同様、基礎的なお話をさせて頂いた方が分かりやすかったかも・・・?と思ってしまいました。

もっとも、セミナー後のアンケートでは、前と変わらず好意的なコメントを多数頂戴しましたので、安心した次第です。

いずれにせよ、ご参加頂いた皆様、ありがとうございました。
講演内容が皆様のお役に立てると幸いです。


2017年4月17日月曜日

セミナー講師を務めました

当ブログで告知させて頂いた相続と不動産に関するセミナー@新宿の講師を務めさせて頂きました。

参加者の方々は少人数でしたが、おかげで和気藹々とした雰囲気でお話させて頂きました。

ご参加頂いた皆様、ありがとうございました。



2017年3月29日水曜日

相続セミナー&相談会(三鷹開催)

先日、本年1回目となります4月開催予定の相続セミナー&相談会@新宿の告知をさせて頂きましたが、続いて本年2回目の相続セミナー&相談会(主催者:東葬祭様及び栃木屋石材店様)の開催が決まりましたので、告知をさせて頂きます。

今回は、場所は三鷹で、6月開催予定です。

昨年6月に「遺言書の書き方講座」をテーマに講演させて頂いておりましたが、今回はその続編となります。

「もしも講座」第9回
日時:平成29年6月18日(日)10時30分~
場所:三鷹.市民斎場
テーマ:遺言書の書き方講座=実践編=

ご参加をご希望の方は、直接主催者様(東葬祭:0120-66-5940)までお申し込み下さい。

2017年3月20日月曜日

相続セミナー&相談会

相続セミナー講師を務めさせて頂くことになりました。
本年度の第1回となります。

本セミナーはどなたでもご参加いただけます。
ご興味のある方は、主催者様までご連絡下さい。

日時:4月16日(日)10:00〜
場所:東京都新宿区西新宿1−24−1エステック情報ビル
   21階会議室D
テーマ:過去の事例から学ぶ不動産に関わる相続及び税務相談会(セミナー付)








2017年2月12日日曜日

家裁の扱う事件数、年間100万件突破へ

日経新聞電子版によりますと、全国の家裁が扱う訴訟、家事調停、家事審判が、昨年度、史上初めて年間合計100万件を突破することが確実になったと報じられています。


----以下引用


家裁が扱う調停や審判、初の100万件 16年最多更新 

2017/2/9 13:43
 離婚、相続といった親族間の問題が調停や審判として家庭裁判所に持ち込まれる「家事事件」が増えている。2016年の件数は1949年の統計開始以来、初めて100万件を超えることが確実になった。進む高齢化や裁判を巡る意識の変化が背景にある。
画像の拡大
 最高裁の司法統計によると、16年1~11月に全国の家裁が受けた訴訟や審判、調停などの件数は計93万9992件(速報値)で前年同期を5万件超上回った。月間8万件超のペースで推移しており、年間では最多だった15年(96万9953件)を超えるのは確実だ。
 増加が目立つ案件は相続放棄の手続き。住む予定のない実家などを相続しない人が急増し、15年の申立件数は約18万9千件で30年前の4倍。遺産相続に絡む争いも多く、故人の財産の分け方を決める遺産分割の調停は約1万2千件と10年間で3千件近く増えた。
 離婚に伴う争いも多い。別居中の夫婦が生活費などの負担割合を決める「婚姻費用の分担」の調停や審判は、15年に約2万3千件と10年間で2倍以上に。子供との面会交流を求める調停なども10年前の約5千件から約1万4千件に増えた。専門家は「当事者だけでは解決に至らない場合に裁判所を利用しようと考える人が増えてきている」と市民の意識の変化を指摘する。
引用元URL: http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG07H6R_Z00C17A2AM1000/
-----引用ここまで

記事によると、一番増加に寄与したのは相続放棄のようですね。

インターネット上の法律相談でも、「親の借金を返したくない」という動機で相続放棄を行う方が結構多いように見受けられます。

昔であれば、親の作った借金をそのまま引き受けて返済していた律儀な人も多かったのかも知れませんが、時代による人々の考え方の変化が反映しているように思われます。

また、記事でも指摘のある通り、利用価値のない地方の不動産(実家)の相続を避ける目的での相続放棄も増えているようで、この点については、以前、私もメディアに記事を書かせていただきました(当ブログにも収録しております)。

遺産分割調停もここ10年間で3000件増加し、1万2000件の大台に乗りました。

当事務所でも、昨年から今年にかけて、片手に収まらない数の遺産分割調停を常に同時並行で取り扱っており、ここ数年、増加の一途を辿っています。

今までは、私だけかとも思っていましたが、世間全体での数の増加も背景にあるのかも知れません。

この調停数の増加も、様々な原因があると思いますが、その1つに、先ほど述べた相続放棄と同じように、世の中の「意識の変化」があるのではないかと思われます。

もともと、相続に関する争いは、相続そのものだけでなく、それまでの親との関わりなど、家族の歴史を背景とすることがよくあります。

また、戦前であれば、長男がすべて相続することが当たり前でしたが、戦後生まれの相続人が増えており、長子相続の伝統が人々の意識の中から消えつつあることも、相続の争いが増えている原因の1つであると思われます。

争いごとはないに越したことはありません。

しかしながら、一度争いごとになった時は、当事者間で泥沼の争いをするよりも、調停で解決した方が、ずっと早く、合理的な解決を得られることが多いです。

ところが、世間では、遺産分割調停を行うと、争いが長引くと思い込んでいる方が多く、私も専門家の1人として、誤解を解消していく必要があると感じています。

遺産分割調停については、また日を改めて詳しく解説したいと思います。

2017年2月3日金曜日

節税目的での養子縁組の有効性について


節税目的での養子縁組の有効性に関する1月31日付の最高裁判決について、弁護士ドットコムニュースさんに私の解説が掲載されましたので、お知らせします。どうぞご覧下さい。

記事URL: https://www.bengo4.com/c_4/n_5654/

タイトル:節税目的の養子縁組「ただちに無効にならず」最高裁初判断…今後、どんな影響がある?


相続税対策で結んだ養子縁組は有効か否か。亡くなった男性が、孫(長男の子ども)と養子縁組を結んだのは「節税目的であり、無効だ」と男性の長女と次女が訴えた裁判で、最高裁は1月31日、目的がもっぱら節税であっても「直ちに無効にならない」と初の判断を示した。

相続人の数を増やして非課税になる控除額を増やす「節税」は、富裕層で活用する人が多いといわれる中、注目される判決だった。裁判所の判断は、こうした現状を追認したとみられる。
相続に詳しい弁護士はこの判決をどうみたのか。また、相続において、養子縁組は、どのように利用されているのだろうか。加藤尚憲弁護士に聞いた。


●そもそも、何が問題なのか


「法律上、有効に養子縁組を行うためには、『(養子)縁組をする意思』が必要とされています(民法802条1号)。この『養子縁組をする意思(縁組意思)』は、次の2つを充たす必要があると考えられています。
(1)養子縁組の届出をする意思
(2)実際に養親子関係を形成する意思
節税目的で養子縁組を行う場合、(2)の意思、すなわち本当に親子になる意思があるのかどうかが問題となります」
加藤弁護士はこのように述べる。

●「節税目的の養子縁組は必ず有効」という判断ではない


今回、最高裁はどのような判断を下したのだろうか。
「最高裁は、『相続税の節税の動機と縁組をする意思とは、併存し得る』として、『専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合』でも、直ちに縁組意思は否定されないものと判断しました。
この判決は、『節税目的の養子縁組は必ず有効だ』と保証しているわけではありません。あくまで、『節税目的が縁組意思と矛盾しない』と言っているに過ぎない点に注意する必要があります。
もっとも、今回の判決が『専ら』節税目的の場合も縁組意思も否定されないと述べる以上、今後は、先ほど述べた(2)『実際に養親子関係を形成する意思』は、かなり抽象的なものであっても許されるという考え方が実務上有力になるのではないでしょうか。
これまでの下級審裁判例では、養子縁組の動機が節税目的かどうかが争われた例もありました。しかし今後は、そのような争点自体が意味を持たなくなったと言えるでしょう」


●養子縁組は意外と多い


一般の人にとって、節税のために「養子縁組」をする発想はあまり持たないように思うが、相続の世界では良くあることなのだろうか。
「法務省の統計によると、ここ数年の間、安定して毎年8万件を超える養子縁組の届出が受理されています。
この数を多いと見るか、少ないと見るかについては、様々な考え方があると思いますが、実際に、相続に関するご相談をお受けしていると、養子縁組の話をお伺いすることは良くあります。
感覚的には、4回から5回のご相談のうち1回程度が、養子縁組をされている方や、そのご親族の方からのご相談ではないでしょうか」



●なぜ養子縁組は行われるのか


今回の裁判は、孫を養子としたケースだったが、一般的には、誰をどのような目的で養子とすることが多いのだろうか?
「日本では、赤の他人との間の養子縁組は比較的稀であると思います。何らかの形で、すでに親戚関係にある方々の間の養子縁組が圧倒的多数を占めています。
特に多いのが、次の3つの立場の方が養子になる場合です。

(1)お孫さん
お祖父さん、お祖母さんがお孫さんを養子にする場合です。養子になる方は、一族の跡取りとして目される方が多いと思われます。相続税との関係では、相続を一代飛ばすメリットがありますが、税制の改正により、現在ではその効果は薄れています。

(2)お嫁さん・お婿さん
世間では、お嫁さんが、お義父さん、お義母さんの身の回りの世話を一生懸命されることは良くあります。しかしながら、お嫁さん自身には相続人の資格はありません。ご主人に先立たれた場合や、相続税や遺留分などに目配りをする場合などに、養子縁組を行うときがあります。

(3)甥御さん・姪御さん
お子さんのいらっしゃらないご夫婦が、後継者としてご兄弟のお子さんを養子に迎える場合です。なお、養子になった方は、実の親御さんとの法律上の親子関係は継続するため、養親と実親の双方の相続人になります。

このように、養子縁組は、一般的に、様々な家庭のご事情や介護への期待などを背景として行われていることをご理解頂ければと思います。逆に、私はこれまで節税だけを目的とした養子縁組が行われたということを耳にしたことはありません。相続税を意識している場合も多いと思いますが、あくまで節税は目的の1つに留まることが一般的なのです」

加藤弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)
 


2017年1月5日木曜日

最高裁「預貯金は遺産分割の対象に」判例見直し…相続問題「3つの影響」を徹底解説

預貯金の遺産分割に関する昨年末の最高裁判例について弁護士ドットコムニュースさんに記事を寄稿させて頂きました。



https://www.bengo4.com/c_4/c_1050/n_5550/

最高裁「預貯金は遺産分割の対象に」判例見直し…相続問題「3つの影響」を徹底解説

相続の際に取り分を決める「遺産分割」の対象に預貯金が含まれるかどうかが争われた裁判で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は12月19日、「預貯金は遺産分割の対象とならない」としてきた判例を見直し、「対象になる」とする初判断を示した。遺産分割審判に対する抗告棄却決定を取り消し、審理を大阪高裁に差し戻した。

大法廷は「遺産分割の仕組みは相続人間の実質的公平を図るためのもの」と指摘。そのためには「できる限り幅広い財産を対象とすることが望ましい」とした。現金が遺産分割の対象となっていることと比較して、簡単かつ確実に現金に換えられる預貯金との間にそれほどの差がないと認めた。

今回の決定は今後どのような影響があるのか。加藤尚憲弁護士に聞いた。

加藤弁護士が指摘する今回の決定の主な影響は次の3点だ。
(1)金融機関の対応が変わる
(2)遺産分割の結果が変わる
(3)遺産分割が長引く場合がある

以下、ルール変更で相続額が具体的にどのように変化するのかという点について、算定式を示しながら、加藤弁護士の解説を紹介する。

●これまでは預貯金は遺産分割の対象ではなかった

世間では、預貯金が遺産分割の対象となることは当然のように思われています。しかし、実は、法律上のルールはそうではありませんでした。これまでの判例では、預貯金は原則として「法定相続分(民法で定められた取り分)に従い当然に分割して承継される」とされていました。

つまり、遺産分割を行わなくても、相続人は、銀行など金融機関に対して、法定相続分に従った預貯金の支払を求めることができたのです。

また、家庭裁判所で遺産分割調停を行う際も、預貯金を遺産分割の対象とすることについて相続人の間で意見が一致しないときは、預貯金は遺産分割の対象から除外されていました。

これに対して、今回の最高裁の決定は、預貯金は「相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象となる」と判断しました。

つまり、今回の決定は、先ほど述べたこれまでのルールを根底から覆したのです。このことにより、これから述べるように、いくつかの影響が予想されます。

●金融機関の対応が変わる

まず第1は、金融機関の対応の変化です。
これまでは、遺産分割前の預貯金の払い戻しについては、金融機関により対応がやや異なり、法定相続分の限度で応じるところもありました。

しかし今後は、金融機関は、遺産分割前の預貯金の払い戻しに対し、一切応じないことが予想されます。

現に、私が決定翌日に、たまたまとある銀行の支店長さんとお会いした際に、その支店長さんは、その銀行ではその日(決定翌日)から突然窓口の取り扱いが変わったとおっしゃっていました。

もともと判例変更が予想されていましたから、同じような対応をした金融機関も多かったのではないでしょうか。

●遺産分割の結果が変わる

第2に、これまでとは遺産分割の結果が変わる場合があります。それがまさに今回の判例のケースです。判例のケースは、以下のようなものでした(金額はすべて概算額)。

(1)相続人(2人)・子(以下「Xさん」、法定相続分は2分の1)・孫(以下「Yさん」、法定相続分2分の1)(孫が相続人なのは、被相続人(亡くなった方)の娘(孫の母)が既に亡くなっているから)

(2)相続財産・預貯金(外貨建預金:残高4000万円相当(日本円換算)など)・不動産(250万円相当)

(3)Yさんは、被相続人から5500万円の生前贈与を受けていた。

このケースのように、相続人の1人が被相続人から生前贈与を受けたときは、相続人間の公平を保つため、原則として、遺産分割を行う際、「遺産の前渡しを受けた」のと同じ取り扱いをします(このような調整を「特別受益の持戻し」といいます)。

もっとも、特別受益は、あくまで遺産分割の際に不利益に働くだけで、(遺留分に反しない限り)すでに受け取った生前贈与を返す必要はありません。

そして、これまでのルールの下では、預貯金は法定相続分に従って当然に分割されるため、生前贈与を受けたYさんは、遺産分割を行わずに、法定相続分に従って預貯金を相続する(4000万円×1/2=2000万円)ことができます。

そうすると、遺産分割の対象になる財産は、(相対的に価値の低い)不動産(250万円相当)に限られるため、Xさんは、預貯金の半分(2000万円)と不動産だけを相続することになります。

これでは、Yさんは5500万円の生前贈与を受け取っているのに、Xさんの相続分は約250万円程度しか増えないことになり、いくら生前贈与が特別受益になるといっても、実際上はあまり意味がありません。

そこで、新しい判例は、この不都合な状況を変えるため、これまでのルールを変更し、預貯金も遺産分割の対象になることにしました。

そして、このケースでは、Yさんが受けた生前贈与の額(5500万円)は、相続財産の総額(4250万円)を上回っていますから、Yさんは、遺産分割の中で、自分の相続分は生前贈与により全て前渡しを受けたものとして取り扱われます。

そうすると、もはやYさんが相続すべき財産はなく、結果として、Xさんが預貯金を含めた相続財産を原則全て相続することになります。

ここで、これまでの判例のルールと、新しい判例のルールでXさんとYさんの相続割合がどう変わるのか確認してみましょう。

(これまでの判例のルールで計算)
Xさん:預貯金2000万円+不動産250万円=2250万円
Yさん:預貯金2000万円+生前贈与5500万円=7500万円

(新しい判例のルールで計算)
Xさん:預貯金4000万円+不動産250万円=4250万円
Yさん:預貯金0円+生前贈与5500万円=5500万円

XさんとYさんの差は大きく縮まっていることが分かるでしょう。このように、新しいルールは、預貯金を調整対象に含めることで、相続人間の公平をより広く実現しようとしているのです。

●遺産分割が長引く場合がある

第3に、遺産分割の結果が変わることがある以上、これまでよりも遺産分割調停が長引く場合が出てきます。

先ほどのXさんとYさんの例で考えてみましょう。これまでのルールでは、Xさんは、たとえ生前贈与があったことを知っていても、特別受益の主張をする実益がほとんどありません。

そうすると、Xさんは、特別受益の主張を諦めてしまうことがあるので、たとえ不公平でも、その分だけ遺産分割調停は早く終わることになります。

これに対し、新しいルールのもとでは、Xさんは、特別受益を主張する実益が出てくるため、諦めずに特別受益の主張をすることになるでしょう。

そうすると、新しいルールのもとでは、過去に生前贈与があったかなかったかをめぐって遺産分割調停が長引く可能性が出てきます。

さらには、特別受益だけでなく、(相続人の1人の貢献により相続財産が増えた場合に認められる)寄与分についても、同じように主張する実益があるケースが増えるものと考えられます。

このように、今回の判例変更により、遺産分割調停が長引くケースが増えることが予想されます。

●決定後も変わらないことは?

今回の判例は、あくまで預貯金が相続人間の調整のために遺産分割の対象となるとするものです。

したがって、親族間の現金の貸し借りによって発生した債権など、預貯金以外の債権については、これまで通り、法律上当然に分割されるものと考えられます。

●残された課題、裁判官からは多くの補足意見

ところで、今回の判例には、たくさんの裁判官の補足意見や意見が付されており、その中では今後出てくる可能性のある新たな問題点が指摘されています。

例えば、5名の裁判官の補足意見は、遺産分割が成立するまで預貯金の払い戻しができなくなったことにより、相続人が相続債務の弁済資金に困ることがあることを指摘し、解決策として、仮処分により預貯金の一部について仮の遺産分割を行うことを提言しています。

もっとも、預金を引き出すためだけに仮処分の申し立てを行う手間の負担が大きく、個人的には、実際に仮処分を行う場合は限られるのではないかと思います。

このほかにも、補足意見や意見の中には、今後の実務上の問題点が指摘されており、私たち実務家には、新しいルールの下で出てくる新たな課題を解決して行くことが求められています。

(弁護士ドットコムニュース)