今日は、当ブログでは初めて取り上げる、戸籍のお話です。
戸籍制度は、明治5年に始まりました。
時代によって何回も形を変えながら、戸籍制度は現代まで連綿と続いています。
今日は、戸籍を、現代から出発して、遙か明治初期まで遡って眺める旅に出ましょう。
それでは出発です!
1 コンピューター化戸籍
あなたは、ご自分の戸籍がどのような形式になっているか、ご存じですか?
(戸籍サンプルの出典:福岡市)
http://www.city.fukuoka.lg.jp/shimin/kusei/life/kosekidennsannka.html
そう、こんな感じですね。
現代の戸籍は、ほとんどが電算化されています。平成6年の戸籍法改正によって戸籍がコンピューター化されました。
では、その前はどうだったか、覚えていますか?
2 現行戸籍(昭和23年~)
(戸籍サンプルの出典:一般社団法人部落解放・人権研究所)
http://blhrri.org/info/koza/koza_0138.htm
覚えている方も沢山いると思います。縦書きのタイプ打ちでした。
現在の民法に従った、戦後の戸籍の様式です。
家族制度は、戦後大きく変わりました。戸主制度がなくなったのもその一つです。
戸籍も時代を反映しています。
次は、戦前まで遡ります。
3 大正4年式戸籍
(戸籍サンプルの出典:相続の栞)
http://souzoku.kouekisya.com/3-07.html
大正4年は、今から99年前です。
「戸主」や「前戸主」の欄があります。
ここから先、戸籍は墨で書いてあります。仕事上、この時代の戸籍を拝見する機会も多いのですが、手書きの文字の解読には毎回難儀しています(笑)。
4 明治31年式戸籍
(戸籍サンプルの出典:和み日記)
http://ameblo.jp/wasaisai/entry-11047308511.html
明治31年は、今から116年前です。
上記サンプルをよく見ると「孫」という続柄が見えます。つまり戸主の孫が一緒の戸籍に載っているのです。
この頃の戸籍は本当に大家族で、何ページも続いているものがあります。
明治31年は、旧民法が施行された年です。これによって、戦前の「家」制度ががっちりと固まりました。
私が子供の頃は、明治生まれの方もちらほらいらっしゃいましたが、今は非常に稀となりました。
5 明治19年式
(戸籍サンプルの出典:家系図スタジオ)
http://kakeizu-studio.com/Roots_03_Koseki.html
明治19年は、今から128年前です。
「こんなに昔の戸籍が残ってるなんて!」と驚かれる向きもあろうかと思いますが、明治19年式戸籍が一般に入手可能な最古の戸籍です。
よく見ると、右下に何も書いてない縦長の空白の欄がありますね。
これは何だと思いますか?
昔は、ここに「士族」などと身分が書かれていたのです。
今は塗りつぶされて、見ることは出来ません。
ちなみに、この時代の戸籍を見ると、「嘉永」生まれだとか、「慶応」生まれの人が沢山載っています(!)。
6 明治5年式(壬申戸籍)
(戸籍サンプルの出典:北さん堂雑記)
http://blogs.yahoo.co.jp/kitasan1970/44475281.html
いよいよ、日本最初の戸籍です。
この後の時代のものとは、随分見かけも中身も違います。
この頃は、血縁であろうとなかろうと、同じ所に住んでいる人が同じ戸籍に入っていました。
なお、残念ながら、壬申戸籍は、現在は閲覧することができません。
身分の欄の一部に現代では差別的とされる表現が用いられており、過去に部落差別に悪用されたことがあることから、閲覧ができなくなりました。
7 フィナーレ
150年近く遡った、長い長い戸籍の旅もいよいよ終わりです。
お楽しみ頂けたでしょうか。
さて、後編では、戸籍と相続の関わりについて、簡単に触れます。(だって、「わかる相続」のブログですから、ね。)