東京西法律事務所

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2014年4月22日火曜日

限定承認の「使い途」(後編)

3回にわたってお送りする限定承認シリーズの最終回です。

限定承認を行うときに必要な期間について、手続の段階を追って説明します。

(1)申立の準備 1ヶ月半~2ヶ月程度
相続放棄よりも若干準備に時間がかかります。戸籍謄本の取り寄せも行います。

(2)申述の許可の審判、公告 半月程度
裁判所の判断はわりと早く出ます。官報に公告を出す必要があるので、その申込みや原稿のチェック、掲載までの待ち時間があります。

(3)公告期間 2ヶ月
債権者に2ヶ月以内に債権を届出るように公告します。この期間は法律で決まっているので、2ヶ月より短くはなりません。

(4)鑑定人の選任、鑑定 1ヶ月半
先買権を行使する場合は、裁判所に鑑定人を選任してもらう必要があります。
先買権の行使はレアケースなので、裁判所の側でも対応に少し時間がかかり、鑑定人の選任の申立からまで1ヶ月程度要することがあります。
また、鑑定人(例えば不動産鑑定士)にも繁忙期があるため、時期によっては、選任から鑑定人に鑑定してもらうまで、少し時間がかかることがあります。

(5)鑑定 1ヶ月
不動産の場合、鑑定人の鑑定から鑑定書作成まで1ヶ月くらい見ておけばよいでしょう。

(6)配当表の作成、債権者との交渉、債権者の内部決済 1ヶ月半
財産の価格がすべて確定したら、配当表を作成します。

以上の通り、先買権の行使まで含めたフルコース(中編のパターン②)では9ヶ月程度かかります。

これに対し、そもそも債務があるかどうかも分からず、念のために限定承認を行う場合は、早ければ3~4ヶ月程度で終了します。

このように、一口で限定承認と言っても、かかる時間は場合によりけりです。

なお、全体の必要時間を短くするための秘訣は、①裁判所に提出する鑑定人選任申立書を公告期間中に作成する、②債権者に送付する配当表を、鑑定人が鑑定書を作成する間にできるだけ作成しておくなど、手続き上やむを得ず発生する「待ち時間」をうまく利用して、前倒しで作業するところにあります。また、上記のスケジュールで物事を運ぶためには、そのような工夫が欠かせない前提となっております。

また、債権者から異議が唱えられると当然時間がかかるので、(長くなるのでブログには書ききれませんが)事前に債権者の納得を得るための工夫も必要です。

つまり、依頼を受ける弁護士の仕事への取り組む姿勢によっても、必要時間はかなり違って来るのです。

今日はここまで

【関連する本サイトの記事】
7−1−4 相続の限定承認
7−1−6 相続放棄と限定承認の比較