以前、「弁護士選びの秘訣」について、【前編】、【中編】、【後編】の3回に分けてお知らせしました。(特に後編は人気記事となりました)
今日は、続編という訳ではありませんが、弁護士に相談するベストタイミングについてお話したいと思います。
さて、弁護士として多くの方からご相談を受けている中で、私は、初回のご相談のタイミングにより、ご相談の内容が、お客様にとって幸せな形で解決するか(これを「成功の確率」と名付けることにします)に大きな差があることに気がつきました。
仮に、初回のご相談のタイミングにより、ABCの3グループに分けることにします。
Aグループ(15%の方)将来起きそうな事についてのご相談
「この先、確実にこういう困ったことが起きそう。その場合、どうしたらいいですか。」といったタイプのご相談です。「転ばぬ先の杖」の考え方と言うと分かりやすいでしょう。
典型的には、将来に備えた遺言書の作成のご依頼が含まれます。
Bグループ(80%の方)起きたばかりのことについてのご相談
多くの方がこのタイプに当てはまります。遺産分割や交通事故など、何かが起きてから、比較的すぐにご相談にいらっしゃる方です。
Cグループ(5%の方)かなり昔に起きたことについてのご相談
例えば、第三者に訴訟を提起され、何回か自力で進めてみたものの、思う方向に行かず、やむなく弁護士を探す方など、弁護士に相談した段階で物事が相当程度進行している場合です。
そして、これらの3グループのどれに属するかにより、「成功の確率」が大きく変わるのです。
Aグループでは、ほとんどの場合、物事が非常にうまく運び、お客様は満足されます。
Bグループでは、ケースバイケースで一概に言う事はできませんが、正式な依頼をお受けする段階ではある程度の見通しが立っていることが多いです。
Cグループでは、良い結果はほとんど得られた試しがありません。せっかく受任してもできることがないため正式なご依頼をお断りせざるをえないこともあります。
これほどまでに、初回相談のタイミングで成功の確率が異なるのは、最初のご相談が早ければ早いほど、①戦略的な選択肢が広い(弁護士の適切なアドバイスにより、誤った選択による取り返しのつかないダメージを回避できる)、②証拠の収集や保存が容易である(秘密裏に重要証拠を収拾しやすい)など、「成功の確率」に大きな影響を及ぼす複数の要因において有利になる(別の言い方をすれば、弁護士が効果的なアドバイスをしやすくなる)からであると考えられます。
初回の相談にかかる費用が5千円から1万円程度であることを考えるなら、早期に法律相談を受けておくことは非常に投資効率が良く、Aグループに属する人は、合理的な行動を取る人であると言う事もできるでしょう。
要するに、弁護士に相談するベストタイミングは、「なるべく早く」という結論になります。
さて、このお話は、もう少し興味深い続きがあります。実は、3つのグループ分けは、お客様の人生そのものに影響しているのです。知りたい方は後編へどうぞ。