お待たせしました。解答編です。(問題編をまだご覧になっていない方は、問題編を先にご覧下さい。)
[答え]
相続放棄する必要があるのは、問題編のお話に出てきた人全員です(もちろん太郎さん本人は除きます)。
詳しい説明は、「わかる相続」本サイトの【7-1-3 相続の放棄】の「具体例」をご覧頂くことが最も早いと思われますので、ここでは繰り返しません。
ただし、今回の事例は、上記本サイトの具体例と少し違うところがあります。それは、太郎さんの祖母のトメさんの存在です。
直系尊属が相続人となる場合、「被相続人(この事例の太郎さんの立場の人)に最も近い親等の人だけが、相続人となる」というルールがあります(【4-2-4 直系尊属が相続人となるとき】)。
小太郎さんが相続放棄をしたとき、このルールに従い、直系尊属の中でもっとも優先して相続人となるのは、太郎さんの両親である良太郎さんと和子さんです。
そして、この2人の双方が相続放棄をしたときは、この2人は最初から相続人とならなかったものとみなされるので(民法939条)、残った唯一の直系尊属であるトメさんが相続人となります。
ちなみに、トメさんも相続放棄したときは、直系尊属はいなくなるので、兄弟姉妹である次郎さんが相続人となります。
そういう訳で、花子さん、小太郎さん、良太郎さん、和子さん、トメさん、次郎さんの全員が、相続放棄をするという結論になります。
いかがでしたでしょうか。相続放棄は、単純承認や限定承認と異なり、意外と多くの人を巻き込みます。
ちなみに、相続放棄によって代襲相続はおきませんが、上記の直系尊属の中での優先順位の定めは代襲相続とは無関係ですので、混同しないように注意しましょう。