東京西法律事務所

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2014年4月24日木曜日

明治へGo!(後編)

さて、明治に遡る旅を楽しんで頂いた後は、ちょっと真面目に相続と戸籍の関わりについて述べます。

前編では、明治や大正時代の戸籍をご覧頂きましたが、果たして「そんな古い戸籍が一体何の役に立つのか」と疑問に思われたかもしれません。

驚かれるかもしれませんが、これらの戸籍は、相続との関係では、日々、役に立っているのです。

相続と戸籍は切っても切れないほど深い関係にあります。

相続の仕事をしていると、何をするにも戸籍謄本が必要になります。

特に、一番多く戸籍謄本が必要になる場面はというと、兄弟間の相続(遺産分割)です。

意外と多いパターンなのですが、一生独身であったり、結婚してもお子さんのいらっしゃらない方が亡くなると、多くの場合、兄弟姉妹が相続人になります。(通常、上の世代の方は先に亡くなっているからです。)

そのとき必要になるのが、(既に亡くなっている)ご両親それぞれの、「生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本」です。

なぜかと言えば、被相続人の兄弟姉妹の全員を確定するためには、ご両親の一生を調べるしかないからです。

さて、今年90歳で亡くなった方がいらっしゃるとして、そのご両親が生まれたのは、約110年〜120年前になります。

このようにして、あっという間に、明治時代の戸籍が出てきます。

相続の仕事をしていて私が何よりも感心するのは、戸籍の制度を定め、150年近く維持してきた日本人の几帳面さにあります。

おかげで、遥か後の世まで、途切れることのない人の一生分の記録を伝えることができるのです。

世界中で、戸籍制度があるのは日本と、その旧植民地(韓国、台湾)だけと言われています(韓国は後に廃止)。

戸籍は日本が世界に誇れるものの1つかもしれませんね。

あともう1つ。

仕事が終わったときに、お客様から「戸籍謄本(又はコピー)が欲しい」とリクエストを頂くことがよくあります。

もちろん快くお渡しするとともに、謄本を一緒にめくりながら、内容をご説明し、遠い祖先の名前を確認したりしています。

そんなときは、お客様は皆、本当に楽しそうな顔をされます。

戸籍には、人のロマンを掻き立てる何かがあるようです。

おしまい

【関連する本サイトの記事】
13. 戸籍謄本と住民票の取得
4-2-5 兄弟姉妹が法定相続人となるとき

明治へGo!(前編)

今日は、当ブログでは初めて取り上げる、戸籍のお話です。

戸籍制度は、明治5年に始まりました。


時代によって何回も形を変えながら、戸籍制度は現代まで連綿と続いています。

今日は、戸籍を、現代から出発して、遙か明治初期まで遡って眺める旅に出ましょう。

それでは出発です!


1 コンピューター化戸籍

あなたは、ご自分の戸籍がどのような形式になっているか、ご存じですか?



(戸籍サンプルの出典:福岡市)
http://www.city.fukuoka.lg.jp/shimin/kusei/life/kosekidennsannka.html

そう、こんな感じですね。

現代の戸籍は、ほとんどが電算化されています。平成6年の戸籍法改正によって戸籍がコンピューター化されました。

では、その前はどうだったか、覚えていますか?


2 現行戸籍(昭和23年~) 



(戸籍サンプルの出典:一般社団法人部落解放・人権研究所)
http://blhrri.org/info/koza/koza_0138.htm

覚えている方も沢山いると思います。縦書きのタイプ打ちでした。

現在の民法に従った、戦後の戸籍の様式です。

家族制度は、戦後大きく変わりました。戸主制度がなくなったのもその一つです。

戸籍も時代を反映しています。

次は、戦前まで遡ります。


3 大正4年式戸籍



(戸籍サンプルの出典:相続の栞)
http://souzoku.kouekisya.com/3-07.html

大正4年は、今から99年前です。

「戸主」や「前戸主」の欄があります。

ここから先、戸籍は墨で書いてあります。仕事上、この時代の戸籍を拝見する機会も多いのですが、手書きの文字の解読には毎回難儀しています(笑)。



4 明治31年式戸籍




(戸籍サンプルの出典:和み日記)
http://ameblo.jp/wasaisai/entry-11047308511.html

明治31年は、今から116年前です。

上記サンプルをよく見ると「孫」という続柄が見えます。つまり戸主の孫が一緒の戸籍に載っているのです。

この頃の戸籍は本当に大家族で、何ページも続いているものがあります。

明治31年は、旧民法が施行された年です。これによって、戦前の「家」制度ががっちりと固まりました。

私が子供の頃は、明治生まれの方もちらほらいらっしゃいましたが、今は非常に稀となりました。

5 明治19年式



(戸籍サンプルの出典:家系図スタジオ)
http://kakeizu-studio.com/Roots_03_Koseki.html

明治19年は、今から128年前です。

「こんなに昔の戸籍が残ってるなんて!」と驚かれる向きもあろうかと思いますが、明治19年式戸籍が一般に入手可能な最古の戸籍です。

よく見ると、右下に何も書いてない縦長の空白の欄がありますね。

これは何だと思いますか?

昔は、ここに「士族」などと身分が書かれていたのです。

今は塗りつぶされて、見ることは出来ません。

ちなみに、この時代の戸籍を見ると、「嘉永」生まれだとか、「慶応」生まれの人が沢山載っています(!)。

6 明治5年式(壬申戸籍)






(戸籍サンプルの出典:北さん堂雑記)
http://blogs.yahoo.co.jp/kitasan1970/44475281.html

いよいよ、日本最初の戸籍です。

この後の時代のものとは、随分見かけも中身も違います。

この頃は、血縁であろうとなかろうと、同じ所に住んでいる人が同じ戸籍に入っていました。

なお、残念ながら、壬申戸籍は、現在は閲覧することができません。

身分の欄の一部に現代では差別的とされる表現が用いられており、過去に部落差別に悪用されたことがあることから、閲覧ができなくなりました。

7 フィナーレ

150年近く遡った、長い長い戸籍の旅もいよいよ終わりです。

お楽しみ頂けたでしょうか。

さて、後編では、戸籍と相続の関わりについて、簡単に触れます。(だって、「わかる相続」のブログですから、ね。)