今日は軽い読み物です。
相続にからんでお客様の不動産の売却のお手伝いをしたときの事。
決済の日にお客様から登記済証(権利証)をお預かりし、仲介の不動産会社のオフィスに届けたことがありました。
オフィスに着いたら、最初に登記担当の司法書士さんと名刺交換をしました。白髪の司法書士さんは見るからに大ベテランの風格をお持ちです。
私は椅子に腰掛けると、さっそく鞄から登記済証を取り出して、司法書士さんの目の前に置きました。
そのとき、セピア色に変色した表紙を一瞥した大ベテランの司法書士さんが「あっ、これはうちのだ」と声を挙げました。
20年近く昔に、お客様のお父様が不動産を購入された際、その司法書士さんが登記を担当したため、登記済証の表紙(通常、司法書士さんが作成します)にその方の名前があったのです。
司法書士さんは、しばし瞑目の後、その不動産の購入時に登記を担当した理由を思い出し、語ってくれました。
その当時、お客様のお父様に不動産を売却した会社に、司法書士さんのお兄さんが取締役として務めておられたそうで、お兄さんのご紹介だったそうです。
見ると確かに、登記済み証と一緒に封筒に入っていた古びた書類に、取締役として司法書士さんの名刺と同じ苗字の名前が書かれています。
司法書士さんは、今回は、不動産会社の手配で登記を担当されたので、同じ人が担当になったのは、全くの偶然です。司法書士さんの数が少ない地方ならともかく、東京では奇跡と言っても良いでしょう。
以上、長い時を経て偶然同じ司法書士さんの手に登記済証が戻ったお話でした。
後日、お客様にこの話をお伝えしたところ、お客様も大変驚いていらっしゃいました。私が、「天国でお父様が見て笑っているのではないですか。」と申し上げたところ、お客様も笑顔で「本当よね」とおっしゃっていました。
おしまい
[お断り:この記事は、お客様のプライバシーを保護するため、事実を抽象化し、変更しております。ご了承下さい。]
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