以前、【GW特別企画:弁護士選びの秘訣(前編)】と題して、弁護士の上手な選び方についてご説明したことがありました。
本日は、(相続に関する)税理士さんの選び方についてご説明します。
まず、1番大事なことは「資産税に詳しいこと」です。
相続税や贈与税のことを、まとめて「資産税」と呼びます。
全国に沢山いらっしゃる税理士さんの中で、資産税の分野を専門にされている方は少数派です。なぜなら、法人税や所得税の申告をメインの業務にしている方が大多数だからです。
そして、資産税についてよく知らない税理士さんに相続税の申告を依頼すると、大変なことが起きることがあります。
以前、お客様から、こんな話を伺ったことがありました。
昔、その方のお父様が亡くなった際に、お父様の会社の昔からの顧問税理士さんに相続税の申告を任せていたらトラブルになったというのです。
トラブルの内容は、「相続税の申告後に税務署から名義預金の存在の指摘を受け、修正申告を余儀なくされた」というものでした。
話を聞いていると、この件は、税理士さんに問題があったのではないかと思われました。
通常、相続税の申告を行う場合、名義預金がないかを確認するため、亡くなった方の預金口座について、過去数年分の取引履歴を調査します。
(名義預金についてご存じでない方は、まず【生前贈与の落とし穴−「名義預金」(前編)】 をご覧ください。)
ところが、くだんの税理士さんは、お客様のお父様の預金について過去の取引履歴を一切調べることなく、単純にお父様が亡くなった日の預金残高に基づいて相続財産の額を確定し、相続税の申告をしていたのです。
当然ながら、このやり方では名義預金は発見できません。この税理士さん(ご高齢の方でした)は、名義預金が存在するリスクを完全に見落としていたのです。
そのような見落としが生じた理由は、その税理士さんが普段から相続税の申告を行っていなかった点にあったものと思われます。
このトラブルが原因で、その税理士さんは、完全にお客様の信用を失ったようでした。
ところで、会社を経営されている方の場合、まず間違いなく顧問税理士さんがいらっしゃいますし、相続税の申告も依頼されることが多いと思います。
しかし、それが果たして正しい対応かは、よくお考えになった方が良いと思います。
なお、当事務所では、相続関係のご依頼については、資産税に強い税理士さんと緊密に連携を取りながら進めていますので、ご安心下さい。