自筆証書遺言を作成した方が亡くなった場合、裁判所で検認手続を経ることが必要になります。
裁判所が遺言書の検認手続を行う際には、法定相続人全員に対して検認期日の通知がなされます。
この通知は、法定相続人に検認期日への出席の機会を与えることを目的としていますが、裁判所から突然通知が来るため、驚く方もいらっしゃるようです。
検認手続については、「わかる相続」本サイトでも詳しく解説していますが、ここでは、法定相続人の方が裁判所から検認手続の通知を受け取った際の対応について、いくつか触れておきたいと思います。
①事実関係の確認と答えの準備
検認期日では、裁判所から必ず聞かれる質問がいくつかあります。
当日慌てないために、あらかじめ事実関係に即した答えの準備をしておく必要があります。
裁判所から必ず聞かれる質問は、以下の通りです。
(1)遺言書の字は本人の字だと思うか
(2)遺言書の印影は、本人の印鑑だと思うか
たった2つだけなので、簡単なように見えますね。
でも、これらの質問に正確に答えるためには、予め本人の字や、印鑑を可能な限り確認しておく必要があります。
なお、検認手続を申し立てた人は、もっと多くの質問を受けますが、「わかる相続」本サイトに譲り、この記事では割愛します。
②専門家への相談
遺言の有効性に関して争いが発生する可能性がある場合は、検認手続の前に、検認期日での対応について専門家にあらかじめ相談しておくべきです。これから理由を説明します。
検認期日であなたが話した内容は、検認調書(裁判所が検認手続の結果を記した書面)に記録されます。
この検認調書は、後日、遺言の有効性について争いが起きたときに、当事者が検認期日に何を言っていたかについての大事な証拠となります。
だから、間違ったことを言ってしまって後から取り返しがつかないような事態だけは避ける必要があります。
ところが、検認期日は時間が短く、せいぜい10分程度で終わってしまいます。簡単な質問であっても、場慣れしていない人が、思った事を裁判官に正確に伝えるのは必ずしもできることではありません。上記の(1)(2)の質問自体は簡単なようでも、答えの理由も含めると、必ずしも単純な答えにはならないからです。
従って、予め専門家に相談して、受け答えの表現を詰めておいた方が良いのです。
なお、弁護士は、あなたの相談に乗るだけでなく、必要に応じてあなたの代理人として裁判所の期日に出席することもできます。
詳しくは、「わかる相続」本サイトをご覧下さい。
【関連する本サイトの記事】
10-1-3 検認手続の流れ