婚外子の相続格差規定、00年5月時点では「合憲」 最高裁判決
(引用:日本経済新聞web刊)2000年5月に死亡した男性の遺産分割を巡る訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(岡部喜代子裁判長)は2日、結婚していない男女間に生まれた婚外子(非嫡出子)の相続分を法律婚の子(嫡出子)の半分とした民法の旧規定は違憲だと主張した婚外子側の訴えを退けた。最高裁大法廷は同種訴訟を巡る昨年9月の決定で従来の判例の合憲判断を見直し、遅くとも01年7月時点で規定は違憲で無効だったとしていた。第3小法廷はこの日の判決で「00年5月当時に規定が違憲でなかったことは過去の判例が示している」と指摘した。今回の訴訟では、婚外子の原告が嫡出子らを相手に平等な相続分の支払いを求めていた。今年3月の二審・東京高裁判決は、昨年の大法廷決定以前に最高裁が00年6月時点や同年9月時点で婚外子規定を「合憲」とする判断を出していたとし、「それより前の00年5月時点で違憲だったとは言えない」としていた。昨年9月の最高裁決定は、家庭の在り方や国民の意識の変化を踏まえ、子供に選択の余地のないことで不利益を及ぼすのは許されないと指摘。相続格差を定めた婚外子規定の合理性は失われていると判断し、01年7月時点で規定は違憲で無効だったとした。
非嫡出子の相続分に関する以前の民法の定めについては、昨年9月、(今回の事案の1年2ヶ月後である平成13年7月に発生した相続の事案に関して)最高裁判所が違憲判断を下したことが記憶に新しいところです。
その際、この違憲判断がどの程度過去に発生した相続に遡って適用されるかが話題になりました。
違憲判断が過去に無制限に遡ることは、すでに決着のついた相続について争いを蒸し返すことになりかねず、避ける必要があります。
判決が出された当時、私は、平成12年6月に死亡した方の相続について最高裁が合憲と判断した事案が存在したことから、平成12年6月以前の相続については今後も合憲判断が維持されると考えました(当時私が発表した文章は、その後、相続総合情報ウェブサイト「わかる相続」に収録しております)。
今回の判決は、従来予想された範囲内であり、大きな波紋を呼ぶものではないといえるでしょう。
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4-2-8 被相続人に非嫡出子がいるとき
婚外子規定は昨年末の民法改正で削除された。